ここからは、ユーザーの声で改善してきたサイボウズOfficeというテーマで、サイボウズ株式会社の小林と、杉崎が発表させていただきます。 よろしくお願いします。 まず最初に、サイボウズという会社の紹介とサイボウズOfficeの紹介をさせていただければと思います。 サイボウズは、「チームワークあふれる社会を創る」を理念としてチームワークを支えるソフトウェア、グループウェアを開発している会社です。 サイボウズはアクセシビリティをユーザーがチームにアクセスできる能力であるととらえています。サイボウズは世界中のすべての人がチームにアクセスできる、 チームに参加、貢献できることを目標に、アクセシビリティの改善をすすめています。 サイボウズには、いくつかの製品があります。その一つにサイボウズOfficeという製品があります。 サイボウズOfficeはスケジュールの共有やワークフローなど主に中小企業の情報共有を支援するサービスとなっています。 サイボウズOfficeはサイボウズの製品の中で最も歴史が長く、20年以上開発を続けている製品です。 古い製品なのでアクセシビリティが考慮されていない部分も多く、現在アクセシビリティの改善活動を続けています。 サイボウズOfficeのアクセシビリティ改善メンバーは、主に四名います。 アクセシビリティチームから杉崎と小林それからサイボウズOfficeデザイナーの松井と上村、 この主に四名を主としてサイボウズOfficeのプログラマーとも連携をしながら改善活動を続けています。 ここからは、サイボウズOfficeの具体的な改善方法と改善結果について、杉崎よりお話をさせていただきます。 ここからはサイボウズOfficeの改善についてお話します。 サイボウズOfficeは20年以上の歴史のある古い製品で、アクセシビリティが考慮されずに作られたがために使いにくかったり使い辛いところがあります。 そこでアクセシビリティチームが地道に改善してきました。改善の方法について一ユーザーヒアリングで問題を発見、二ユーザーストーリーで問題を改善の二点についてお話していきます。 まず一つ目、ユーザーヒアリングで問題を発見についてです。2020年まず、社内のユーザーへヒアリングを実施しました。 社内に在籍しているロービジョンや全盲の社員にサイボウズOfficeを使うにあたって生じる課題や要望についてヒアリングしました。 そこで得られたフィードバックをもとに、クリティカル性の高いものから随時改善しました。 次に、2021年に社外のユーザーへヒアリングを実施しました。 障害者の人を雇用している企業やNPOなどの団体にお声がけさせていただき、実際にサイボウズOfficeを利用いただいている障害のあるユーザーへヒアリングしました。 そこで得られたフィードバックをもとに改善し、実際に改善が行われているかどうか、再度同じユーザーに効果検証をしていただく活動もしました。 ヒアリングをしていく中で社内とはことなる様々な製品の使い方やとらえ方を知ることができました。 一例を挙げます。例えば、支援技術向けのマニュアルを充実させてほしいというマニュアルの必要性に気づかせてくださいました。 後は、週一回程度しかログインしないという使い方をしている方もいらっしゃいました。後は、スケジュールパーツで参加者の施設を入力するパーツがあるのですが、 参加者と施設の区別がつきにくいというフィードバックもいただきました。このようにヒアリングを実施しなかったら知りえなかった意見が私たちの改善活動を前へ進めてくださいました。 次に二つ目のユーザーストーリで問題を改善についてお話します。ユーザーストーリーとはユーザーが行おうとしている一連のタスクのことです。 サイボウズOfficeであれば、重要な通知を確認したい、チームメンバーのスケジュールを登録したいなどです。 このユーザーストーリーを完了するまでに生じるタスクを洗い出し、ユーザーストーリーを完了するまでにどういった課題が生じるかを洗い出しました。 そこで、課題に対してクリティカル性であるとか、あとはユーザーヒアリングで指摘を受けたところであるとか、あとは改善がしやすいといった要素などから優先順位づけし、 優先度の高いものから随時改善を実施しました。 私たちは、スケジュールを登録する、スケジュールを調整する、掲示板を閲覧する、掲示板を登録する、といったサイボウズOfficeの主要な機能を改善してきました。 ここからは実際の改善内容について三つ紹介します。 まず一つ目、スケジュール画面のコメントを操作しやすくしました。 これは、ロービジョンの社員からのフィードバックを受けて、改善した部分です。 拡大したときにスケジュールのコメントを操作しやすくしたほか、キーボードでも操作できるように改善しました、今、画面にはスケジュールのコメントパーツのスクリーンショットを表示しています。 コメントが書いてあり、その下に左側に返信ボタンがあります。 そして返信ボタンとは離れたところ右側に固定リンクと削除ボタンが並んでいます。改善前は、拡大するとこの右側に並んでいる固定リンクと削除は見切れてしまい、 結果操作部に気づかなかったり見失ったりしてしまう課題がありました。改善後は、右寄せになっていた固定リンクと削除を左側にまとめました。 これにより、拡大しても固定リンクや削除を見失わずにすみます。また、改善前はキーボードで固定リンクや削除ボタンを押すことができなかったのですが、 押せるように改善を加えました。 次に二つ目、主要な画面の見出し構造を整理しました。これは、全盲のユーザー様からのフィードバックを受けて改善した部分です。 主要な画面の使用頻度の高い部分に見出しを設定しました。 また、コメントごとに見出しとリストを設定しました。今、画面には掲示板の詳細画面のスクリーンショットを表示しています。 掲示のタイトルや本文の開始地点、コメント部分、それからコメント一件一件に見出しを設定しています。 これにより、スクリーンリーダーで容易に操作することができるようになります。スクリーンリーダーには、見出しが設定されている部分の頭出しをする機能があり、 これを使うことによりスクリーンリーダーユーザーは目的の部分を素早く見つけることができるようになります。 最後三つ目、スクリーンリーダーでスケジュール登録ができるようにしました。 これは、全盲のユーザー様からのフィードバックを受けて改善した部分です。 スケジュールの登録は、参加者の予定を確認し空いている時間を目視で確認する必要のがあるなど、結構難易度の高い作業です。 そこで、私たちはもともとあった予定の調整機能を使っていただく、アクセシビリティの改善を進めてきました。 予定の調整機能は参加者と施設を入力すると、自動でいくつかの空いている予定の候補を自動で推薦してくれる機能です。 今画面には予定の調整機能の予定候補の推薦画面のスクリーンショットを表示しています。 スクリーンリーダーで操作しやすいように、予定候補一件一件のチェックボックスの改善を加えています。 以上で、改善の内容の説明は終わります。 ここまでで、サイボウズOfficeの改善活動についてお話をしてきました。 ここからは、サイボウズOfficeのアクセシビリティ改善の今後についてお話をさせていただきます。 今後については大きく二つのトピックを検討しています。一つは、フロントエンド刷新プロジェクトです。 長い歴史のあるサイボウズOfficeですけれども、開発スピードを今以上に大きく向上させるため今までのフロントエンドの仕組みを大きく刷新するプロジェクトが進行しています。 フロントエンド刷新に伴ってアクセシビリティも大きく改善しようと考えています。 より多くのサイボウズOfficeの開発と一緒にアクセシビリティを改善するために、サイボウズOfficeのアクセシビリティガイドラインの策定とガイドラインの学習を開発メンバーで行おうと考えています。 また、支援技術向けのサイボウズOfficeマニュアルを提供することも検討しています。 複数のユーザーの方から支援技術向けのマニュアルが欲しい、支援技術でサイボウズOfficeをどのように操作すればいいか、効率のいい方法を教えてほしいといった要望をいただいています。 今回は手始めにスクリーンリーダーユーザー向けのマニュアルを執筆しています。 スクリーンリーダーの基本操作に慣れていない方も多くいらっしゃいますので、基本操作を紹介しつつ、その基本操作を元にサイボウズOfficeをどのように操作すればいいかといった情報を提供しようと考えています。 このようなアクセシビリティ改善情報については、サイボウズのアクセシビリティポータルサイトをご覧いただければと思います。 こちらには、サイボウズOfficeをはじめとしたサイボウズ製品の改善情報を遂次掲載しています。また、サイボウズ製品へのご意見も受け付けています。 フォームから送信することができますので、ぜひ忌憚なき意見をいただければと思います。 サイボウズOfficeのアクセシビリティ改善については以上としたいと思います。ご清聴いただきありがとうございました。