みなさんこんにちは。 マイクロソフトの森下と申します。 社内では、Xboxをはじめとするゲーミング全般の製品のマーケティングを担当しています。 ゲームとアクセシビリティという単語が出てきたときに、その両者がすぐに結びつく方はそんなに多くないと思うんですが、 実はゲームミングの世界でもアクセシビリティの実装というのは、非常にホットなトピックに最近なっています。 そんな中我々マイクロソフトがXboxというブランドを通じて、どのような形でアクセシビリティを実装しているのか、 細かい部分も具体例を交えながらこちらのセッションではご紹介させていただきたいと思います。 どうぞ、よろしくお願いいたします。 まずは、我々マイクロソフトが会社としてどのような ミッションを掲げているのか、といいうところからご紹介させてください。我々マイクロソフトはですね、 Empower every person and every organization on the planet to achieve more、日本語に直すと、地球上のすべての個人とすべての組織が、 より多くのことを達成できるようにする。これをミッションとして掲げております。 こちらはですね、小ネタになるんですけれども、我々このミッションは過去に一度変えています。 創業当時のミッションというのは地球上のすべての家庭、一家に一台、パソコンを。というのが我々マイクロソフトのミッションでした。 ところがですね、今周り見渡していただくと、一家に一台パソコンがあるのはもちろんのこと普段皆さんが使われているスマートフォンであったりタブレットであったり、 もしくはスマートTVなんかもですね、定期的にはコンピューターに含まれますので、一家に一台パソコンどころかですね、 一家に三台四台とパソコンがあるっているのが当たり前の世界になっているんですね。 そんな中マイクロソフトもこれは世の中の流れに合わせてミッションを更新しなければいけない、もう達成してしまったから更新しなければいけない、 ということでじゃあもう今度は達成ることが本当に無理なんじゃないかと思われるぐらい壮大なミッションを作ろうということでこの、地球上のすべての個人とすべての組織が、 より多くのことを達成できるようにする、というミッションを掲げています。 アクセシビリティの観点でもですね、この地球上のすべての個人とすべての組織が、というところに大きくかかわってきておりまして、マイクロソフトは今ですね、 本当に社員でもすべて把握するのが難しいぐらいたくさんの製品っていうのをもっているんですけれども、 基本的にマイクロソフトが世の中に送り出す製品というのはすべてアクセシビリティの実装を含めてこのミッションに基づいて製品の設計開発というのがされています。 今までですね、マイクロソフトがどのような形でアクセシビリティに対して取り組んできたのかというところなんですけれども、古くはですね、 本当にもう、マイクロソフトがまだベンチャー企業だったころから始まりまして、マイクロソフトがですね。そういったまだまだ小さい会社だったときに、 初めてのウィンドウズを世の中に送り出したとき、これはもう今では到底考えられないことなんですが、 いわゆるアクセシビリティに配慮された機能というのが初期のウィンドウズ一切実装されていなかったんです。 そういった中でウィンドウズを使っている人たちの中から、こんなんじゃ私使えないよ、というような声がですね、 当然いろんな方から上がりまして、そういったところからウィンドウズを含めてオフィス、もしくはクラウドサービス、 様々な製品にアクセシビリティの実装を検討したというところから、マイクロソフトによる取り組みというのは始まっています。 一番有名な所でいうと恐らく皆さんもよくご存じで使われたことも多いんではないかと思いますが、拡大鏡の機能ですね。 自分の好きなところをですね、スクリーン上の好きな所にポインタを合わせてクリックすると拡大がされて読みやすくなる。 今ではですね、どんな製品、マイクロソフトが出す製品にかかわらずIT系の製品であればどんな製品にでも当たり前のように搭載されているような機能ですけれども、 まずはそういったところから小さく小さく、どのような人にとって我々の製品が使い辛くなってしまっているのか、 そういったところを考えながら、そういう細かい機能を実装していくところから始まっています。 いまですね、こちら記載をしているこちらのそれぞれ写っている人たち、皆さんですね、マイクロソフト我々の社員なんですけれども、 実際に社員の中にもですね、様々な属性を持った方、マジョリティではない方、 ていうかたに設計段階から入っていただくことによって、実際に当事者の目線に立った形で機能の実装というのを進めています。 このように、様々な製品、事業を展開しているマイクロソフトですが、その中でもとくにエンタテインメント領域に特化をしているのが、 Xboxというブランドで展開をしているゲーミング事業となります。 このセッションをお聞きの方、もしかするとですね、 ゲームを普段からプレイするというかたもいらっしゃるかもしれませんが、そういった方であれば、Xboxという名前を聞けばある程度ピンとくるのではないかと思います。 日本だとですね、これは完全に私の努力不足で日本では知名度がまだまだ低いところがあるんですが、Xboxというとですね、 グローバルだとNintendo SWITCHだったり、プレイステーションと並んで広く愛されているゲーマー向けの製品サービスとなっております。 代表的な製品は何かといわれるとこちらのスライドに映しているいわゆるゲーム機ですね。 日本だと一年半ほど前にXbox series X、Sとう形で新しいゲーム機出しましたけれども、こちらのゲーム機のイメージを持たれている方というのが多いのではないかと思います。 このXboxの製品にも当然アクセシビリティの実装さまざまなレベルから検討がされておりまして、 特にですね我々が力を入れているのが人がゲームをプレイするときに一番操作をすることになる、このコントローラーの部分ですね。 こちらのスライドに表示されているコントローラー、一見ですね、何の変哲もない普通のコントローラーなんですけれども、 実はこちらのコントローラー、マジョリティではない人にとってはいろいろとですね、操作がしづらかったりそもそも使えない、といった特徴が多くあるコントローラーとなっていました。 すべての人にですね、ゲームの楽しさを届けるとなったときに、このコントローラーの展開だけだとミッションを達成できないということで Xboxチームが力を入れているのが、このコントローラーの設計をですね、丸ごと一からやり直すことによって、すべての人にとって本当に使いやすいコントローラーを作るというところでした。 そしてこちらがですね、実際の新しいコントローラーの開発過程を示した資料となっております。非常にこちらは貴重なですね 資料となっているんですけれども、実際の開発にあたって我々マイクロソフトXboxチームの中だけで完結するのではなく、左上に示している通り、 様々な外部団体の協力も得てこの開発を実施がされました。 例えばですね、障害者の方のゲーミングチャリティコミュニティであったりですとか、 あとは病院であったりですとか、あとは個人の実際のマジョリティではない方々、そういった様々な方から常にフィードバックを受けながら開発を実施しました。 それらのフィードバックを受けて、例えばですね、ボタンごとの空間配置であったりですとか、細かい各ボタンの寸法であったり、あとはですね、こういった形で細かいコントローラーの傾斜であったり、 そういった本当に細かい部分まで隅々に至るまで本当にすべての方に使いやすいコントローラーというのを意識して、この開発というのがすすめられました。 そして完成をしたのが、こちら右上のXboxアダプティブコントローラーという製品になります。左側がXbox本体、右下が通常のコントローラーですね。 こちら通常のコントローラーと比べていただくとわかるとおり、Xboxアダプティブコントローラーボタンの数が絞られていて、それぞれのボタンというのも大きく配置されています。 こうすることによって、どんな人でも自分にとってボタンが押しやすいように、そんな風に設計がされています。ただ当然ボタンの数自体が少ないので、ほかのボタンはどうするんだ、といいますと、 こちら背面にですね、19個の3.5ミリジャックポートが搭載されています。 それぞれのポートがそれぞれのコントローラをボタンに対応していて、アクセサリーメーカーの外部ボタンをそれぞれのボタンに追加していただくことで それぞれのポートに追加をしていただくことにで、それぞれのボタンをですね。外部に拡張することが可能となります。これによって、手元だとコントローラーを操作しにくい人であっても自分のですね 体に合わせた位置に外部にボタンを拡張して自分にとって複雑な操作であったりですとか、あとは瞬間的なコマンド入力をやりやすい場所にボタンを配置するということが可能になります。 また、これらのボタン、それぞれのポートすべてカスタマイズ可能になっています。こちらはですね、 Xbox本体もしくはウィンドウズPCを立ち上げたコントローラーアプリこちらはですね、カスタマイズできる画面になっているんですけれど、それぞれのポートのですねボタン配置を変えられるのはもちろんのこと、 このXboxアダプティブコントローラー本体に搭載されている、もともとデフォルトだとAとBに配置されているボタンそれぞれのボタンを例えばXとYに変える、 そういったレベルでかなり細かいところまでコントローラーの配置コントロールの排出というのを変えることができるので、さきほどご紹介したボタンの外部拡張 そしてこのボタンのですね、キーアサインの変更この二つを組み合わせることによって、このXboxアダプティブコントローラーを使えば、 どんな人であっても自分にとって操作のしやすい環境というのを作ることができます。 さらに、後ろ側、底面ですね、Xboxアダプティブコントローラーの底面には三つのマウントねじ穴というのが搭載されています。 これがあることによって、たとえば、普段車いすで生活をされている方であってもその車いすにマウンターも取り付けて、 そのマウンター部にこのXboxアダプティブコントローラーを接続することによって、自分にとって押しやすい手元であったり、 もしくは首から上だけが動くような方であればあごの部分にこのコントローラーをもってきて、あごでボタンを操作する、そういったですね、拡張というのも可能になります。 また、我々はXboxアダプティブコントローラーを開発する際に、実際に使うときの使いやすさだけではなく、開梱時にもなるべく負担を減らして開梱できるような工夫も施しました。 こちらがですね、実際にXboxアダプティブコントローラーが手元に届いてからどのように 開梱するのかというのを示したデモンストレーション動画なんですけれども、見ていただいて分かる通りですね、ガムテープを引っ張ることなくすべてですね、 ひもを引っ張れば開梱が完了するような工夫がされています。 これによって、体の不自由な方であってもいわゆる開梱の儀ですね、自分のお目当ての品が手元に届いてから 開梱するまでのわくわくというのを自分で味わえるように、そんな工夫がなされています。 そんなXboxアダプティブコントローラーにとどまらない、マイクロソフトが開発するすべての製品なんですけれども、 インクルーシブデザインの原則というものに則って基本的にマイクロソフトの製品というのはすべて開発・デザインがされています。 重要なポイントは三つあります。 一点目、「何ができないか」を認識し、新たなアイデアに繋げる。 これはまさに、Xboxアダプティブコントローラーの例でいう、 今までのコントローラーで何ができないのか、というところを認識したうえでアダプティブコントローラーのアイデアにつないだという部分ですね。 また、こちらはアダプティブコントローラーの例で行くと、様々な外部団体からフィードバックを得ることによって 多様性を意識することでそこから学んでアイデアを取り入れていくと。 そして三点目、これもですね、非常に重要なポイントなんですけれども、一人のための設計を多くの人の利益につなげる。 これどういうことかといいますと、よくですね、アクセシビリティ機能の実装・アクセシビリティの工夫というとですね、 ビジネスに全く関係ない社会貢献だ、という意見だったりだとか、あとはマイノリティの方のためだけの機能実装だ、という風な形でですね勘違いされてしまうことが多いんですけれども、 実際我々はですねそんなことはないという風に思っていて、例えば今ついさっきですね、お見せした「開梱の工夫」あれなんかはですね、 別にマイノリティの方・体の不自由な方でなくてもうれしい工夫なんですね。 私もですね、アマゾンで何かお目当てのものを頼んで自分の家に届いて開梱するなんて言うのは日常的にありますけれども、やっぱりですね、 とくに閉め切ってばっかりだと、ガムテープがなかなかはがれなくてですね、ぺちぺちぺちぺちやっているとイライラしてくるんですね。なので私個人的にはですね、 すべての段ボールがああいう梱包のされ方をしたらいいのに、なんてことも思います。 なので決してですね、ああいった機能の実装もああいった機能のアイデア出しは一部の方のためのだけではなくて、単純に製品としてより良い製品を作っていく、 より多くの人にとって使いやすい製品を作っていくと考えたときに一人のための設計が多くの人の利益・すべての人の利益につなげることができるというふうに考えているんですね。 なので、よりよい製品を作るという観点で、ビジネス上にも非常に大事な心掛けですし、インクルーシブデザインをしっかりと取り入れてアクセシブルな製品を作っていくというのは、 万人にとって利益が出ることだというふうに我々は考えて日々製品の開発・デザインというのを行っております。 そんな今ご紹介したXboxアダプティブコントローラーなんですが、実際にですね民間でご活用いただいている例というのもございます。こちらはですね、 北海医療センターという北海道の医療施設なんですけれども、筋ジストロフィーであったりですとか、そういった難病を患っている約100名の方がですね、 長期療養されている施設となります。で、こちらの施設でですね、この二人、作業療法士の田中さん、そして実際にこちらに入居されている吉成さん、 このお二人が立役者となってこの施設の中でXboxアダプティブコントローラーを活用していろいろな方にゲームをお楽しみいただいております。 こちらは実際の施設の中でどのような方にどういった形で製品をご活用いただいているのかというところをですね、実際皆様に撮影していただいた写真になるんですけれども、 見ていただいて分かる通りですね、それぞれの特性に合わせて様々な工夫を凝らしてXboxアダプティブコントローラーをお使いいただいているのが見て取れるかな、と思います。 こういった形でですね、すでに民間の施設なんかでも活用ていうのは進んでおりますので、ぜひ我々としてもですね、 より多くの方にこのXboxアダプティブコントローラーを知っていただいて、その人に会った使い方を模索していただけるような取り組みを続けていければなというふうに思っています。 こちらのXboxアダプティブコントローラー、マイクロソフトストアというマイクロソフトの直営オンラインストアで現在も販売中ですので、もしですね、 こちらのセッションをお聞きになっていただいて自分もちょっと使ってみたい、というふうな方いらっしゃいましたら、 弊社のマイクロソフトストアにアクセスいただいてぜひご購入いただければ幸いでございます。 今ご紹介したのはコントローラーのお話でしたが、それ以外にもですね、Xboxからゲームをする際にいろいろな人にとって ゲームが楽しみやすくなるように我々は様々な機能というのを実装しています。 例えばこちらは、Xboxからゲームを購入するためのマイクロソフトストアにアクセスしたときの画面の一部となっています。 マイクロソフトストアでは、アクセシビリティスポットライトという名前でアクセシビリティに配慮したゲームを特集して探しやすくできるような工夫が施されています。 こういった形でですね、アクセシビリティそれぞれのテーマごとに配慮がされたゲームというのが特集がされるので、自分に合ったゲームを探しやすくなっています。 それぞれのゲームの詳細に行くと、ゲームプレイ、オーディオ、ビジュアル、インプット、入力方法ですね、 この四つのカテゴリーに分かれた形でどのような工夫がされているのかというのを、カテゴリーごとに見ることもできます。 例えばこの、ビジュアルというところをですね、押すと、アジャスタブルテキストサイズ、字幕・もしくはゲーム中に登場する文字の大きさを調整できたりだとか、 カラーフィルターのオプションがあったり、カメラを調整できたり、コントラストの調整ができたり、テキストのコントラストの調整ができたりとか、こういったですね、 細かい部分までどういったところのアクセシビリティ関連の機能が実装されているのかというところが、購入する前に見ることができるので、 自分でもしっかりと楽しむことができるゲームなのかというのをですね、事前にマイクロソフトストアから確かめたうえで購入することができるようになっています。 ただし、すべてのゲームがカラーフィルターのような細かいアクセシビリティ関連の機能に対応しているわけではありません。特にインディーゲームなど、 小規模なスタジオからリリースされるタイトルについては、なかなか予算の関係などもあってアクセシビリティ関連の機能の実装が遅れてしまうことが多々あります。 そういったゲームにも対応するためにXboxでは、ゲーム機Xbox本体単位でカラーフィルターをかけられるような機能にも対応しています。 こちらのアクセシビリティ機能のカラーフィルターというところを選択すると、三種類の色覚特性に合わせた形のプリセットが最初から入っていて、 そのそれぞれをですね補正の強さであったり、あとはカラーブーストであったり、そういった細かい部分までそれぞれのプリセットから調整をして、自分に見えやすいように調整をすることが可能になっています。 こちら録画なのでこちらの見た目では色が変わってないように見えるんですけれども、実際にディスプレイにですね、映すとしっかりと色味が変わるので、 自分に合った調整をすることができます。で、実際ですね、どういった見え方になるかという例なんですが、ちょっと違いが分かりづらいかもしれないんですが、 こちらですね。緑と黄色、このですね円の色味を見ていただくと、それぞれの設定に応じて微妙にですね、色味がかわって見えやすくなっているというのが分かるかと思います。 最後に、我々Xboxチームのグローバアルのボス、フィル・スペンサーの言葉を引用して終わらせていただきたいと思います。 我々Xboxチームは、チームXboxのメンバー一人一人がすべての人にとってアクセス可能で、公平、且つ持続可能なゲーミングの世界を目指して日々努力しています。 こちら、我々の親玉,フィル・スペンサーの言葉なんですけれども、この言葉をですね、日々体に刻み込んで我々はすべての人にゲームを楽しんでいただけるよう、 マーケティング・製品開発・デザイン、すべての業務を行っています。 今回は、Xboxにまつわるですね、大小さまざまなアクセシビリティ関連の機能であったり製品のご紹介させていただいたんですけれども、 今後もですねこういった機会を通じていろいろな人にゲーミングにまつわるアクセシビリティ関連の取り組みを知っていただいてより多くの方に ゲームを楽しめるような環境を作っていけたらうれしいなと思っております。 今回はご清聴ありがとうございました。