SmartHR こんにちは、アクセシビリティエンジニアの辻勝利です。 第8回目のアクセシビリティの祭典では、「SmartHRのアクセシビリティ向上の取り組み」というテーマでお話しします。 まず、簡単に自己紹介させていただきます。 私は、先天性の全盲で、30年近く、コンピューターを使って、仕事や日常生活を送っています。 20年ほど、Webアクセシビリティを高める仕事をしてきましたが、働く環境のアクセシビリティを向上するために、昨年2021年9月に、SmartHRに転職してきました。 普段は、フルリモートで、自宅から仕事をしているのですが、今日はSmartHRオフィスの様子を皆さんにご紹介したいと思いまして、出社して収録をしています。 時々、noteにも記事を書いたりしていますので、もしよろしければ読んでみてください。 続いて私が所属しているプログレッシブデザイングループについて簡単に紹介します。 プログレッシブデザイングループは、1月に発足したばかりのSmartHRの第三のデザイングループです。 他にSmartHRには、セールスとマーケティング、ブランディングを担当するコミュニケーションデザイングループ、SmartHRのプロダクトを設計するプロダクトデザイングループがあります。 私たちプログレッシブデザイングループのミッションは、今、二つあります。 一つは、SmartHRのアクセシビリティを向上させること。 私が担当しているのは主にこの部分になります。 製品としてのSmartHRのアクセシビリティを向上させるだけではなくて、社内外への啓発活動を通して、さらに、アクセシビリティを向上させたり、維持し続けたりする活動をしています。 SmartHRの多言語化対応も、私たちのミッションです。 前提として、SmartHRをお客様に導入していただくためには、外国語話者を含めたすべての従業員が、それを利用できるようにする必要があります。 私たちは、英語や韓国語など様々な言語でSmartHRの機能が利用できるように改善を続けています。 SmartHRの詳細については、このスライドと、次のスライドでまとめていますので、もしよろしければご参照ください。 特に、従業員が利用するSmartHRの機能はスクリーンリーダーを使っている人も利用することができます。 また、画面の配色やコントラストにも気を配って開発されているので、会社で働く多様な方々が利用しやすいようになっています。 障害のある従業員を雇用している会社でSmartHRを導入するメリットについてお話しします。 人事・労務担当者にとって、障害のある社員のための特別な対応は時間と労力を必要とします。 視覚障害者を例にして考えると、紙の書類を読み上げたり、従業員から聞き取った内容を正確に紙に代筆したり、このような作業は、時間と労力を必要とします。 SmartHRは、テクノロジーの力で、この特別な対応にかかるコストを削減することができます。 人事・労務担当者は、その分の時間と労力をもっと必要な他の作業に充てることができます。 「技術で解決できることを運用でカバーしない」これは、私がSmartHRで目指している「すべての従業員が働きやすい環境」を実現するための最初のステップです。 障害のある従業員の立場でも、独力で様々な手続きを完遂することができるのは大きな意味があります。 独力で手続きを進めることで、個人情報を必要以上に同僚に口頭で伝える必要がなくなります。 デジタルで提供される資料や書類は、自分のペースで読み進めることができますし、必要なところを何度でも読み返した上で納得して手続きを進めることができます。 SmartHRを導入することで働き方がどう変わっていくかを、私の経験を踏まえてお話してみたいと思います。 私の会社員としての生活の中で、人事・労務関係の手続きは、とても大変なものでした。 一例を挙げると、給与明細は、毎月、支給日に読むことができませんでした。 その都度、担当者にお願いをして、紙からExcelシートに書き写してもらう必要がありました。 人事・労務の担当者にとってみても、ただでさえ忙しい給与の支給日に1社員のために、紙に記載された内容をデジタル化することは、大変な労力だったと思います。 このやりとりは一度や二度ではありませんでした。 給与支給日には、毎月同じようなやりとりをする必要がありました。 これは人事・労務の担当者にとっても給与明細を受け取る私にとってもつらい経験でした。 しかし、SmartHRが会社に導入されてからは、私も他の社員の皆さんと同じように、給与支給日にちゃんと私が読める形で給与明細を受け取ることができるようになりました。 現在は社内での様々な申請や年末調整もSmartHRを使って、好きなタイミングで独力で完了することができるようになりました。 そのおかげで、やっと自分の本来の仕事に集中できるようになったと思います。 人事・労務関連の手続きが独力でできること、それは障害のある従業員にとっても当然認められるべきものです。 そこに、障害を持つ従業員への特別な配慮や、優しさは介在すべきではありません。 なぜなら、そのような特別な対応には、担当者の力量や、時間的な余裕が必要だからです。 業務システムが担えるところは技術できちんとカバーし、その分の労力をもっと別のところに割り当てることで、より働きやすい環境が作れるのではないかと考えています。 もし仮に私が他の会社に転職することになったとしても、SmartHRが導入されている会社を選ぶと思います。 それほど、すべての従業員が同じように利用できる業務システムの存在は、とても重要なものなのです。 私は4回の転職経験がありますが、障がいのある社員の離職率は決して低いものではないと聞いています。 その背景にはおそらく、これまで紹介したような特別な配慮によって生まれる無意識の同僚との上下関係に耐えられなくなってしまったり、自分の手続きのために、他の社員の手を煩わせてしまっているということへの罪悪感に耐えられなくなってしまったりということがあると思います。 そんな社会の非合理をなくすためにも、皆さんの職場にもぜひ、SmartHRの導入をご検討いただければと思います。 今回は、SmartHRのアクセシビリティ向上の取り組みの中でも、特にスクリーンリーダーの利用者にとってどんなメリットがあるのかについて簡単にご紹介しました。 私の発表を通じて、もしSmartHRに興味を持ってくださいましたら accessibility@SmartHR.co.jpまでお問い合わせください。 SmartHRが、1人でも多くの皆さんの働きやすさに貢献できるのを楽しみにしています。