みなさん こんにちは。 このセッションは、「日本語Webフォントの最新事情〜フォントの魅力で世界を幸せに〜」(エコー)と題しましてお話をします。 まずは自己紹介です。SBテクノロジーでWebフォントエバンジェリストをやっている関口浩之です。 ウェブの仕事に約30年間、携わっています。そんな中、12年前に、Webフォントサービス「FONTPLUS」を企画立案し、システム開発し、翌年2011年にサービスを開始しました。 現在は14社のフォントメーカーと提携して、Monotypeの欧文を含めて、約3,700書体が使えるWebフォントの百貨店をやっておりまして、そこのエバンジェリスト、文字の伝道師をやっております。 先月、Web担当社Forumというポータルサイトで、僕のキャリアに関する取材記事が公開されました。自分で言うのは変ですが、すごく良き記事です。 Yahoo! ニュースでも取り上げられていました。まだ読んでない方。「フォントおじさん 伝承」で検索して読んでいただけるとうれしいです。 Webフォントのお話ですが、12年前に日本で、いくつかのサービスが立ち上がりましたが、歴史を振り返ってみましょう。 ? その前に、日本では、いつ頃、インターネットが本格的に普及したかを考えてみたいのですが、26年前の1986年4月のYahoo! JAPANのサービスだったんじゃないかなと思うんです。 情報アクセシビリティ革命が起こりました。いつでも、どこでも、だれでも、情報にたどり着けるようになりました。 僕は、Yahoo! JAPANの立ち上げプロジェクトで3万件のメタ情報を手入力するチームのリーダーを担当したわけです。 それにより、窓に文字を入れて検索すると、欲しい情報が出る。それまでは雑誌から情報を得ていた時代でしたが、そんな情報革命が起きたのは、まだ26年前なのですよね。 1990年代後半のホームページを紹介します。  同時は、Welcome to my Homepageって、みんな書いてましたよね(笑)  こんなレトロな感じのウェブサイトを私も作成していました。まだ、Webフォントは使われていない時代でした。 Webフォントが使えるようになったのは、W3Cがブラウザで、EOTやWOFFやSVG等のWebフォントフォーマットを表示してね、という仕様を2010年頃に策定したからなんです。 そして、ブラウザメーカー各社は、Webフォントを表示できるレンダリングエンジンを搭載しました。そんな背景があり、現在、Webフォントが使えるようになったのです。 日本でWebフォントが普及するターニングポイントを考えてみましょう。Webフォントの表示が当社は遅かったですよね。 日本は海外に比べると数年、普及が遅れていました。 その後、表示速度の改善が進んだり、カーニングを可能にする font-feature-settings という文字詰めのCSSプロパティや、 縦書き横書きが指定できる writing-modes というCSSが使えるようになったりした2016年あたりが、日本語Webフォントは本格普及するターニングポイントだったと思います。 12年前に、FONTPLUSというサービスが開始した時のWebフォント表示の動画が残っていたので披露しますね。 当時のWebフォントの表示は、システムフォントが表示されてから、一呼吸してから、後から表示される、そんな時代がありました。 その後、2013年には速度改善がされ、JavaScriptが必要な文字をWebフォントで取ってきても瞬時に表示できるようになりました。 昨今のWebフォントのトレンドについて説明したいと思います。ウェブって基本的に文字は横書きですかね。 文字を左から右方向に読みます。でも、グラフィックデザインや雑誌、チラシなどでは、縦書きと横書きが混在するのが当たり前だったりしますよね。 ただし、ウェブでは、そのようなレイアウトはなかなか実現できなかったですよね。 それが、昨今、できるようになったということで、この事例の鈴乃屋さんのウェブサイトですが、美しいリーフレットみたいですよね。縦書きと横書きが自由にできる。 それができるようになったのは、writing-modes というCSSが使えるようになったからです。ところで、縦書きと横書きを混在して表現する国は、日本ぐらいしかないんです。 中国では縦書きの文化はほとんど残っていません。そんな日本固有の文化がウェブ標準になったことは、本当にすごいことなんです。熱く語ってしまいました(笑) writing-modes というCSSが使えるようになったから言っても、簡単にウェブ制作の現場まで伝わらないだろうということで、インターネットの日本の父である村井純先生が中心となって、 「縦書きWeb普及委員会」という組織が結成されました。そんな中、私も3年間で約100カ所、セミナーで「ウェブでも縦書きが簡単にできるよ〜」って草の根活動をしました。一昨年、このチームで、総務大臣表彰も受けました。 あと、こんなうれしいニュースがありました。Webフォントの技術の貢献に際して、W3Cがテクノロジー&エンジニアリング部門でエミー賞を受賞しました。先々週のニュースでしたが、自分事のようにうれしかったです。 フォントおじさんおすすめ事例を紹介します。「株式会社WORDS」で検索してみてください。スマホで見ることをおすすめします。マイクロインタラクションがさりげなくいい感じです。 書体の選定もいい感じ。そして、UI/UXの作りも素晴らしいと思います。ぜひ、チェックしてみてください。 それから、「FONTPLUSギャラリー」で検索してみてください。 私どもチームで、そのサイト素敵だね〜というサイトを約60件、紹介しているポータルサイトを昨年、オープンしました。こちらも、ぜひ、チェックしてみてください。 まとめです。約4,500年前に誕生した文字。情報革命の主人公のひとりです。これからもウェブの表現において、フォントが重要な役割を果たしていくのではないと思っております。 これからも、文字の伝道師として頑張っていきたいと思います。 フォントの力で人々を幸せに! ありがとうございます! また、来年、お会いしましょう!