【セッションタイトル】 コンセントのアクセシビリティ向上の取り組み 皆さん こんにちは。株式会社コンセントです。本日はコンセントのアクセシビリティ向上の取り組みということでお話をさせていただけたらと思います。 私は株式会社コンセントに所属しております堀口と申します。普段はWEBプロデューサー、アートディレクターとして主にWEBプロジェクトの業務設計やアカウントディレクションに従事をさせていただいてます。 コンセントの簡単な紹介をします。コンセントは企業や行政と伴走して活動を支えるデザイン会社です。 デザイン経営や事業開発マーケティングやブランディング、クリエイティブ開発等において、サービスデザインの視点と技術を活かして戦略の策定から実行に至るまで一貫したご支援をしています。 主なソリューションは、デザインの考え方を経営に生かすデザイン経営の強化支援、先ほど申し上げたように、事業開発サービス開発の支援成長まで一貫した支援をする、あとはデザインの組織化、業務構築を支援していくこと。 また、顧客の体験設計の構築の支援、顧客接点の構築支援をしたり、幅広いデザイン分野でお仕事をさせていただいております。 コンセントのミッションは「デザインでひらく、デザインをひらく」というミッションで今活動をしておりまして、元々コンセントという会社は1971年、今から50年以上前に創業したデザイン会社でした。 当時は教科書や百科事典、商業誌のいわゆる編集デザイン、エディトリアルデザインからスタートし、1990年以降に出版社の仕事以外にも、企業のコーポレートコミュニケーション全般の仕事に従事するようになっていきます。 2000年以降は伝え方のそもそものあり方や、コミュニケーションデザインを考えることから、ユーザーの体験そのものなどを考えるUXデザイン、さらにその外側の体験をもとにしたビジネスや、 活動体全体をもう一度捉え直す枠組みでも、サービスデザインという考え方を持って、今はデザインの事業を進めております。 現在ではそのサービスデザインの考え方をベースに事業開発、サービス開発からデザイン組織開発、行政デザイン組織の形成、支援、デザイン経営支援、デザイン業務の中核を深めていって、さらに裾野を広げていっています。 元々、デザインの専門家として委託される組織から、デザイナーでなくてもデザインを活用できていけるような「デザインでひらく、デザインをひらく」ような社会をつくるための組織へ今は編成している状態です。 こんな会社で今、WEBアクセシビリティの取り組みはどういうことをしているかというと、コンセントのWEBアクセシビリティの取り組みとしては、先ほどお話ししたのはコミュニケーション支援の一環で、企業のWEBサイト、 WEBサービスの設計デザイン開発業務でのWEBアクセシビリティの支援を通常実施しております。 企業サイトのほか例えば、航空交通関連、行政関連のいわゆるインフラや、皆さん多くのユーザーが対象となるようなサービスサイトなどでも実績を多く積んでいます。 支援した企業サイトがアクセシビリティ関連でアワードを複数受賞するなど、品質確保や、向上に至る体制は持っていると言えるかなと思います。 ただ、近年取り組みの変化が生じてきたところをお話しさせていただくと、これまでは受託して納品させていただくという形がメインでした。ただこれだと課題として、 発注いただいたお客様の方で継続的な品質の確保や、体制を維持していくことがなかなか難しいという課題も幾つか散見されるようになってきました。 なので品質100%の状態で納品させていただくというところも大事なんですけども、それよりは品質を維持していくとか、向上していくためのお客様側での体制の構築、 運用体制をどうしていくかにウエイトを置くようなプロジェクトが少しずつ増えてきています。 いわゆるフル受注納品型というところから、組織形成支援型に移行しているところが今のトレンドかと思っています。組織形成支援の主な取り組みですけども、 幾つかあるんですが、まずは各組織に対してWEBアクセシビリティが何なのかということを十分に理解していただくことが非常に大事かなと思ってます。 各組織レイヤーへのWEBアクセシビリティーの理解促進のため経営マネジメント層向けにご説明するとか、またそのプロジェクトをリードしていくとか、そういったプロジェクトディレクションをされていく側の方々にご説明する。 後は実装していく、実際に構築をしていく方々にレクチャーをしていただくですとか、また制作の舞台が外部の方々になる場合もありますので、そういった方々向けにもお話をさしていくという形で、 各組織に対してきちんとお話をさしていただくところが非常に重要かなと思っております。 あとはレビュアーとしてのかかわりとありますが、実践制作をお受けすることももちろんあるんですけども、どちらかというと、実践策体制はお客様の方で、内部で、もしくは私たちとは別に、 外部の体制をお持ちでいらっしゃる際に、各フェーズごとに設計、デザイン、実装の各フェーズの中の中間成果物に対して、私たちが部分的にレビューをさせていただくかたちが非常に増えてきています。 これも前提としてはその時点、その時点で100%を目指すというよりは、主立ったところをきちんと修正して直していこうという形です。向上を前提に、もし漏れてしまった場合や、見切れない場合に関しては、 運用の中でカバーをしていくような進め方を推奨させていただいてます。 そういったことを繰り返しただけでも、内部の中に知見やナレッジが溜まっていかないことがあり得ますので、同時に教育や研修の計画、プランニングのところと、 あと、実際の研修のプログラムやコンテンツを作るところもご一緒していくというような取り組みがわりと増えてきています。例えばですが、レビューの例としてはペタペタとワイヤーフレームの状態で画面を置いていただいて、 その画面を見ながら私たちの方で、これは「miro」の画面なんですけども、そこに対して「こういった懸念がある」というところをざっとさしていただいて、 そこに対してディスカッションをして、少しずつ直していくことを繰り返していくことを、今は主にやらせていただくことがわりと増えています。 これは事例をもうすぐ掲載できるかと思いますので、またご案内ができると嬉しいと思っています。ただお話ししてる中でまだまだちょっと課題があって、現場課題としては、 中長期の開発体制の組み込みというのをどうしていこうかというところは、目下お話をしているところですね。既存のプロジェクトの、例えばアジャイルで開発をされてる中に、 どういうふうにタイミングとして組み込んでいくか、どういうふうにフローやステップを変えていくかという段階的な変化が、やっぱり組織ごとに要件が異なりますので、そこに対してご相談はいろいろとしているところになってます。 体制の変更にかかるコストでは、人事異動や発注先が変更になるときに、どういうふうに現場の品質を維持していく、ないしその向上していくための体制を維持していくかをご相談することも非常に増えています。 ここは教育コンテンツやドキュメントなどの整備をしていく中でできる限り、そういった研修制度も含めて人が変わった時にでもすぐに対応ができるような状態に、どういうふうにできるかを今検討してるところです。 あとは育成評価の仕組みでお客様の中で「その業務をやっていることで、どのくらいその評価がされるか」も、上層部と少しお話をさせていただく機会も少しずつ増えてきております。 それがその企業にとってどのくらい重要なのか重要じゃないのかも含めて、お手伝いをしていく機会も少しずつ増えてきています。 次はコンセントの社内での取り組みのご紹介をさせていただきます。コンセントでは今は「専任チームから分散チームに」と書いておりますが、コンセントのアクセシビリティチームの変遷としては何段階かありまして、 まずは有志の勉強会からのスタートでした。これが10年くらい前で、そこからタスクフォース型という形で、いわゆる組織の中での組織化ではなくて、 有志が集まってチームを組んで会社から「こういうタスクを遂行してくれ」という名目の下で活動をしている活動体ができていったのがタスクフォース型です。 そこからアクセシビリティやインクルーシブデザインに関して、きちんと専任チームとして取り組んでいこうという専任チームの段階を踏まえ、今は分散チームと形を変えています。 分散チームというのが、いわゆるアクセシビリティをアクセシビリティのチームにお願いしようという状態が続いておりました。「そういったところを無くせるといい」というような意図があって、 アクセシビリティの専任チームにいたメンバーが他の組織にいわゆる潜伏をするというような状態を今は取っています。 各組織の中で社内教育のプログラム、プロジェクトプランの中に「こういうこともちょっと含めた方がいいんじゃないか」というところをアクセシビリティのエッセンスを口出しして 社内の中にどんどん広めていくという潜伏部隊を今、組織して、裏で連携しながら進めているところです。 なので、いわゆる「アクセシビリティはアクセシビリティを知ってる人達にお願いしよう」 という状態ではなくて、できるだけ社内全体がリテラシー、自分事として取り組むような組織化をしていけないか、今模索をしてるという状態です。 あとは全社のベーシックスキルとしての取り組みにつながるところですが、いくつか取り組みをしています。新人研修制度への取り組みや、 あとはミドルシニア向けの定期的なデザインスクールもプログラムを組んで設置したり実施しています。 新人も、弊社では毎年多くはないんですが採用してまして、あとから学習するというものではなくて、デザインを実施していく上で当たり前のものであるというベーシックなスキルとして研修をしています。 あと、ミドルシニア向けの定期的なデザインスクールも、弊社では大体、今220名ぐらい社員数がいますので、その中ではどうしてもアクセシビリティに対してのリテラシーの差というものが出てくるので、 そういった人たちがキャッチアップできる機会を定期的に設けることも配慮しております。 全社のベーシックスキルとして2つ目ですが、事業部以外のメンバーも巻き込みたいと、今画策しています。事業部のメンバーだけではなくて、バックオフィスのメンバーにもこういった考え方を浸透させたい。 意図としては社内で利用されるドキュメント類、情報へのアクセスに対して品質を上げていきたいと、そういったプロセスを持っていくことで、社内全体のリテラシーをバックオフィスも含めて向上したいという意図で今取り組んでいます。 アクセシビリティチームを事業部会のメンバーとバックオフィスの人達とアクセシビリティチームを結成しておりまして、名称が「社内文書みつけ隊」という名称を付けています。 これはアクセシビリティという名称を付けた時に、事業部側から見ると「アクセシビリティね」という、いわゆる「アクセシビリティなんだ」と見られがちですし、 バックオフィス側からすればアクセシビリティという言葉自体はそんなに耳馴染みがないので、もう少しわかりやすい名前で浸透がしやすい名称にして浸透を図っています。 役割としては社内情報とか、先ほどお話ししたような社内ドキュメントのアクセシビリティ、見つけやすくしていくというような品質の向上をしていたり、 あとはアクセスしやすい情報の作り方や情報発信のコツなどを定期的に社内に向けて発信をしていく中でアクセシビリティに関連する全社社内研修も、バックオフィスが主催して主体となって実施をしていて、 事業部側だけではなくて、バックオフィスも含めた全社でリテラシーを上げてくことを今取り組んでいます。 今後としては、当面はコンセントとしては組織体制構築支援の内容を充実させていきたいと思っています。研修内容の充実化をしたり、各ステップのレビューの対応の人材強化をしていくところも喫緊の課題かと思っています。 あと社内でこういった取り組みをもっと優先度を高めるための、例えば指標策定みたいなことを今進めています。定期的な社内外のアンケートをやってそこに対してどんどん向上をしていくことがあれば、 もう少し社内的な優先度、予算がついたりといったところの検討もできるかと思ってますし、あとはツールドキュメンタリーの整備をして形式化もどんどん進めていきたいと思っております。 あとはその先ほど紹介した「社内文書みつけ隊」が、取り組みとしては弊社のバックオフィススタッフが中心となっているものですが、いろんな会社様が参考にできる話かと思いますので、外部発信ができればいいなと思っております。 「デザインでひらく、デザインをひらく」というコンセントのアクセシビリティの取り組みでした。新しい仲間も常に募集もしてますので、WANTEDLYとかで検索していただければ、コンセントの情報も見れますので、 ぜひ皆様、これからもコンセントをよろしくお願いいたします。 御清聴ありがとうございました。