【セッションタイトル】 「人との繋がりを支えるフォント、その魅力を再発見」〜アクセシビリティとフォントの素敵な関係〜 みなさん、こんにちは。フォントプラスの関口浩之です。今年もフォントの話をします。よろしくお願いします。 アクセシビリティの祭典は今年で9年目ですね。開催、おめでとうございます。私も9年連続で参加しています。皆勤賞。毎年、会場の様子の写真を撮ってSNSにアップしていたので、それらをペタペタとスライドに貼りました。 板垣さんや北山さんの9年前のお写真もありますね。いつもの参加者の皆さんも写っていますね。懐かしい。 今年のアクセシビリティの祭典のテーマは「人の繋がりが世界を変え続ける」です。このテーマをまさに9年間やっていますよね。このイベント、手作り感満載だし、大好きです。 では、私のフォントセッションをはじめます。本セッションのテーマは「人と人の繋がりを支えるフォント、その魅力を再発見」です。フォントの楽しさ、アクセシビリティとの関係とか、ダイジェスト版でお送りします。 なくてはならない存在、文字・フォント。意識して生活しているわけじゃないですが、例えば、案内板に文字がなかったら目的地に行けなくなりますね。矢印が表示されていても、共通言語である文字(行き先)が無いと伝わらないです。 プログラムも同じです。HTMLやCSS、alt属性も、アルファベットや日本語が存在しなかったら書けないわけです。そんな愛おしいフォントや文字がいつ誕生したのかをお話します。 自己紹介を忘れていました。SBテクノロジーという会社で、Webフォントエバンジェリストをやっています。12年前に、フォントプラスというWebフォントサービスを立ち上げて、3,700書体が使えるよというサービスのエバンジェリストをやっています。 フォントおじさんとまわりから呼ばれています。昨年は「日曜日の初耳学」にも出演させていただきました。フォントの楽しさをテレビ番組でワイワイやりました。 それでは、フォント(広い意味で「文字」と表現します)は、いつごろ誕生したのか、ひも解いてみましょう。 地球の誕生は約46億年前です。 そして、人類は300万年前に誕生したといわれています。ところで、文字はいつ、誕生したのでしょうか? 300万年前からあったわけじゃないですよね。 1万5000年前のラスコー壁画を見てみましょう。これ文字かな? 鹿の絵が描かれていますが、文字はなかったですね。 文字が生まれた背景として、「歴史をちゃんと残したい」「情報を正確に伝えたい」を人類が願ったときに文字が誕生したのだと、フォントおじさんさんは考えます。 皆さんもご存知の楔形文字(メソボタミア)や象形文字(古代エジプト)は、約4,000年前に誕生したといわれています。 これらの文字の誕生があったからこそ、みんなで情報を共有できる環境が誕生したのです。そして、漢字が生まれたのはもうちょっと後、今から約3,500年前です。 そして、アルファベットは、紀元前500年に誕生ということで、割と最近のことなのです。2,500年前にアルファベットができたということがなぜ凄いかというと、 誰が見ても、王様って言葉は誰がみても王様と理解できるわけですし、愛していますっていう言葉はこの文字を使うとちゃんと伝わるわけです。それってすごいことですよね。 ヒューマンリーダブル。つまり、人と人との間で相互理解ができる世界ができたっていうわけです。 それから、いきなり、時代は現代に飛び越えますが、1990年代にインターネットが身近な存在になりました。それまでは、雑誌等から情報を入手するというのが中心だったです。 その象徴的な出来事がヤフージャパンのサービスが立ち上がったことです。1996年4月1日のことでした。 私はデータベースの開発担当をしたということで、当時、このプロジェクトに携わった人間でもあるのですけども。窓に文字を入れて、パソコン叩くと情報が出てくるのです。これってすごいなと思ったわけです。 この懐かしい感じのカウンターがくるくる回っていて、1000人目の「キリ番」取ったとか、そんな時代もありましたね。 「ヒューマンリーダブル」から「マシーンリーダブル」になって、読み上げもできるようになりました。この情報革命が起きたのがこの30年ぐらい前ということなのです。本当につい最近のことなのですね。 そして、Webフォントが使えるようになったのが10年前、もうちょっと前の15年前ぐらいからです。 それまでの文字の情報は、例えばこのサイト、グローバルナビゲーションの「トラベル」とか「マイレージ」とか、Webフォントが使えない時代は、 これらは、イラストレータとかでスライスして、pngとかjpegにして配置したわけですが、alt属性をちゃんと書く必要がありました。 そんな時代はありましたが、Webフォントが使えるようになってからは、直接、テキスト表現ができて、綺麗に表示できる時代が来ました。 フォントプラスというサービスを10年前に立ち上げたのですが、今日は時間の関係で1件、事例を紹介します。 こちらのサイト(FiTO)、実際にブラウザ立ち上げてみたいと思います。これ、テキスト情報はすべてWebフォントで表現しています。 たづがねという書体を使って、あと見出しにフーツラ(Futura)を使っています。サイトの作りも美しいですね。マイクロインタラクションもめちゃくちゃいいですね。 そして、ページを切り替えてみましたが、ウェブフォントを使っている感がほとんど無いですよね。ぜひ、表示スピードも含めてチェックしてみることをおすすめします。 そこで、Webフォントを使った数々の導入事例、いろんな書体を使った事例を「フォントプラスギャラリー」というコーナーで紹介していますので、ぜひチェックしていただけるとうれしいです。 そろそろ、まとめにいかないと行けない時間ですね。フォント選びって大事ですよね。パッと見たときにそれがどういう情報なのかが分かる方が良いわけで、フォントを選びが正しい、つまり、文脈やシーンに合っていると頭にすぅ〜と入ってくるのです。 どんな環境でその文字が使われているのか、紙なのかWebなのかとかでも異なります。例えば、看板などでは「3」と「8」や「c」と「o」が見間違わないような書体選びが重要ですよね。 下の書体の方が見間違いしづらいっていう書体ですよね。どっちの書体が優れている買って話じゃないですが。 他の例ですが、緊急地震速報って表示する場合、こちらのウエイト(太さ)がしっかりしたものを使うほうが、パッと伝わるってことです。 また、怖いときには怖い書体、古印体を使うと、「セクシーサンキュー」(怖い声で)って感じで伝わりますよね。 書体選びにより、感情も伝わるということなのです。フォントって、情報を正確に伝えるためのコミュニケーション基盤なのです。 10分という短い時間でしたが、フォントが楽しいってことが伝わったでしょうか。また来年、お会いしたいと思います。ありがとうございました。