supercity 総合字幕リスト 字幕総数 103 本編の長さ(およそ) 00:10 印刷日付: 2021/05/18 16:43:46 (平田)こんにちは。 神戸シティ法律事務所の弁護士の平田です。 私のほうからは 昨年5月に成立しました 「スーパーシティ法」というものについて その概要をご説明したいと思います。 「スーパーシティ法」という名前を聞いたことがある方は 非常に多いと思うんですけれども じゃあ その法律というのは 具体的に どんなものなのかを 詳しくご存じの方は なかなか少ないのではないかと思います。 まず 「スーパーシティ法」という名前の 法律があるわけではありません。 具体的に法律の名前を挙げますと ここに掲げています「国家戦略特別区域法の 一部を改正する法律案」 この名前の法律案が可決されたことによって 法律となりました。 これをもって「スーパーシティ法」というふうに 一般的には言われています。 ですので 「スーパーシティ法」と言いますけれども それも いわゆる「国家戦略特区」の中のひとつだと 位置づけることができるわけです。 「国家戦略特区」といいますと 規制緩和のために いろいろな実験を行って その中で規制緩和を行うものとして 捉えられていますけれども 「スーパーシティ法」も そういった取り組みのひとつだというわけです。 この「スーパーシティ」の 「国家戦略特区」の特徴というのは さまざまなデータの連携を切り口として さまざまな分野の規制改革を 一体的 あるいは同時に行っていくための枠組みを 提供するというところにあります。 具体的に その法律では どういうことが 決められているのかを見ていきましょう。 「スーパーシティ法」の中で まず特徴的なのは ここに書きました「データ連携基盤」 この「データ連携基盤」を作るということが まず大きな特徴になっています。 そして その連携基盤を整えたうえで データを持っている提供者 その特区の中で データを持っている政府 あるいは自治体 それから民間企業 場合によっては個人が そのデータ連携基盤に データを提供していくということが まずあります。 そして その基盤の中に集まったデータを使って 先端的なサービスを提供していくということです。 かつ そのサービスというのは どこか特定の分野ではなくて 物流・交通・防災・医療福祉 それから 観光ですとか あるいは環境保全といった 多数の分野にわたって 新しい先端的なサービスを 提供していこうというものになっています。 それから 「スーパーシティ法」の特徴としましては 先端的なサービスを提供する側が こういったデータが必要だという場合に そのデータを持っている省庁や自治体に対して 「そのデータを提供してください」 「データ連携基盤に そのデータを載せてください」 というような要請ができるようになっています。 ですので データが今 使えない状態にあったとしても サービスを開発することを諦めるんじゃなくて まずは そのデータを提供できないかどうかを 試みようというのが特徴になっています。 それと もう1つ大きな特徴として 規制緩和が どうしても必要になる部分があります。 データの提供や利用自体に そもそも規制がかかっているもの あるいは データを活用して 新たなサービスを行おうと思っても そこで 何か規制がかかっているようなもの 例えば ドローンの飛行であったりとか あるいは自動運転であったりとか そういった規制を取っ払って 新しい先端的なサービスを提供する。 そのために 各省庁に横断した さまざまな分野での規制緩和を 一度に図っていかないといけない。 そのために サービス提供事業者 あるいは そのトップの側から 内閣総理大臣に対して 特例措置を要求する。 そして 内閣総理大臣から各省庁に対して そういった規制緩和ができないかどうか 検討を要請するという枠組みが作られています。 ここが「スーパーシティ法」の 大きな特徴のひとつになっています。 現在の「スーパーシティ」の特区展開が どのような状況か 簡単にお話ししますと まず 昨年の5月27日に法律が成立しました。 そして その後 省令等の必要な規定が整備されまして 昨年の12月25日に 特区の公募が開始されました。 先日 4月16日に その公募が締め切られまして 現在 31の地域が この特区に手を挙げているという状態です。 そして 5月以降 特区の指定が検討されて なされます。 そして 指定された区域ごとに 特区の内容 どういった「スーパーシティ」を作っていくのかという 基本構想が作成されていき そして 特例措置が実現されて 最終的には 2030年ごろに その基本構想にのっとった「スーパーシティ」が 実現するといわれています。 他方で 「スーパーシティ法」についても 課題が いろいろと指摘されています。 いちばん大きなところは やはり個人情報の問題です。 どこまで個人情報が そのデータ連携に載せられていくのか あるいは 個人が特定される状態なのかどうか それから どこまで紐付けをされて 使われるのかということが問題になってきます。 例えば 町なかにある防犯カメラの映像を 全て データ連携基盤に載せて 人物を特定する あるいは誰か特定の人を 追いかけるというようなことができれば サービスとしては いろんな提供の 活用のしかたが見えてくるんでしょうけれども そこまでデータが提供されることに対して 抵抗感を覚える人も 非常に多くいます。 そういった住民間の合意をどこまで図るのかが ひとつの問題になっています。 これに関しては この「スーパーシティ法」の中では ひとつの措置が取られています。 それは 先ほどの 規制緩和の特例措置を求めるにあたっては 住民の合意を取り付けることが要請されています。 ただ ここで住民合意と ひと口に言いましても なかなか難しいところがあります。 住民投票をやって 例えば過半数を取れば それは合意があったと言えるのか あるいは 地方議会の議員の決議を得たからといって それで合意があったと言えるのか。 なかなか 実際の合意というところには 難しいところがあるかと思いますけれども こういった観点を法律の中に取り入れてるというのは ひとつ評価できるところかなと思います。 それと もう1つ 私としては 非常に課題であると思っていますのが 今回の その「スーパーシティ法」というのは 住民目線でソリューションを提供していくんだというのが 政府の説明であるわけですけれども 本当に住民目線のサービスが提供されるのかと。 この「スーパーシティ法」によって 出てきたサービスというのが 住民にとって使えるサービスなのかというところが 問題になるんだろうと思います。 実際に出来上がったサービスが 本当に役に立つものになるためには やはり そこに住んでいる人々の人数や どういった要求があるのか それに合わせて データ連携基盤であったり データの取得というのを 進めていくということが必要なんだろうと思います。 そして そのためには やはり 今現在 利便性というところで 課題を抱えている人たち 高齢者の方であったり あるいは障害者の方であったり こういったニーズの多い所にこそ まさに この「スーパーシティ」の解決策が あるんではないかと思っています。 このあと 多くの発表者の方から 「スーパーシティ」の活用に関しての ご発表があるかと思います。 それが 私が先ほど述べたような課題の 解決につながっていくんだろうと期待をしています。 この説明で 「スーパーシティ法」というものの 概要を押さえていただいて 皆さまの発表を聞いていただき そして どういう社会を目指していくのか 皆さんにも お考えいただければと思います。 ありがとうございました。